■本プロジェクトの概要
TBWA HAKUHODOが取りまとめた『新しい時代に対応する観光復興ガイド』第三弾から見えた旅行意欲を高める兆しと、JTB総合研究所がこれまでの調査・研究から見えた旅行者の価値観・意識の変化を合わせて見ると、何度も訪れたくなる「心地よい居場所」を求めて旅をするという傾向がみられました。今回の実証実験では、旅行者が感じる「心地よさ」を、新しい旅の形として具現化することを目的に、オンラインアンケートを実施し、結果から導き出された「心地よさ」の要素を取り入れたツアーを開発し、実証実験を行います。また、オンラインアンケート内ではJTB総合研究所が開発した価値観タイプテスト「旅ライフセグメント5®」も併せて実施し、新しい旅の形の可能性を探ります。実証実験は、オンラインアンケート調査の実施を経て、11月5日〜6日に行う予定となっています。
<旅行者の価値観タイプテスト「旅ライフセグメント5®︎」>
「心地よい」と感じる要素の深堀り、また新しい旅の形の可能性を探るために、オンラインアンケート内で実施する価値観タイプテストは、旅行やライフスタイルに関わる設問から、人々に共通する5つの代表的な価値観(A.情報感度の高さ B.人との繋がり重視 C.等身大でいたい D.一味違った旅行がしたい E.価格合理性を重視)のそれぞれの重視度合いにより、旅行者を5つの価値観グループ(「高アンテナ」タイプ、「共感」タイプ、「メリハリ消費」タイプ、「体験重視」タイプ、「合理派」タイプ)に分類したものです。各タイプの特徴と、オンラインアンケート調査の結果を掛け合わせることにより、旅行者の価値観ごとに求める「心地よさ」が可視化され、仮説建てが容易になります。
※実際の分析方法とは異なりますが、本リリースでは簡易的にセグメントを判別するためのものをご紹介し、皆さんにも是非試していただければ幸いです。
■本プロジェクトの背景
TBWA HAKUHODOではこれまで、生活者の会話を分析して戦略を生み出すマーケティング組織「65dB TOKYO」や、コンサルティングユニット「Disruption® Consulting」などの有志が集まり、SNS上の投稿から世間の観光に対する兆しを抽出する『新しい時代に対応する観光復興ガイド』を2020年6月より第一弾を公開し、観光関連事業者や地方自治体への支援活動を続けてきました。一方で、JTB総合研究所でも、ツーリズム産業を支えるシンクタンクとして、コロナ禍によって大きく変容した旅行業界の情勢を様々な調査・研究を通して解明・分析し、問題解決の糸口や成長のヒント探しに注力しています。そこで、TBWA HAKUHODOが2021年12月に公開した『新しい時代に対応する観光復興ガイド』第三弾をベースに、JTB総合研究所がコロナ禍において行ってきた調査・研究と併せて新たな旅の価値を整理し、その具現化を通じて観光業界にとって新たな取り組みをはじめるヒントを与えていきたいと考え、本プロジェクトを開始しました。
■山形県最上地域での実証実験について
山形県最上地域は、森林面積が総面積の約8割を占める他、ブナをはじめとした原生林が多く残り全国でも有数の「巨木の里」として知られています。豊かな自然を背景に昔ながらの雪国の暮らし文化が今も息づく里山田園エリアです。山形県内でも人口減少が著しい課題先進地であり、交流人口や関係人口の増加を図っています。今回の取り組みは従来の最上地域の観光スタイルに無かった新しい観光体験プランの創出ができると考え、「兆しツアー」の開発に向けた実証実験を企画する運びとなりました。
■今後の予定について
関係者間での実証実験終了後、オンラインアンケートから得られた分析結果の詳細や旅づくり・ツアー実施を通じて得られた知見をガイドに取りまとめて発表する予定です。また、同様の悩みを抱える地方自治体や観光関連事業者に同取り組みを紹介するセミナーを今年度内に開催を予定しています。
TBWA HAKUHODOは、今後もクリエイティビティ・カンパニーとして、これまでの取り組みで培ってきたノウハウを活かし、観光業界に限らない幅広い業界や社会全般の課題解決に寄与できるよう提案し続け、意義ある変化を通じて社会貢献に尽力してまいります。
【プロジェクトチームからのメッセージ】
<TBWA HAKUHODO一同>
コロナ禍の観光業界で頑張る方のために、役立つガイドを作りたい。そんな有志を持ったメンバーが集まった『観光復興ガイド』プロジェクトの開始から2年が経ちました。今回は、この2年間で見えてきた新たな旅の兆しをツアーという形で具現化します。コロナ禍で生まれた「心地よさ」という新たな旅の兆し。では、旅行者の価値観によって求める心地よさはどう変わるのでしょうか。また、その心地よさを提供するために、地域の資産からどんな体験を生むことができるでしょうか。この問いにJTB総合研究所や最上地域のみなさまと取り組むことで、観光業界のみなさまに新たな取り組みのヒントを見つけたいと思います。(プロジェクト担当:田貝雅和)
<JTB総合研究所一同>
コロナ禍で大きく社会環境が変わっていく中で、今後注目していくべき社会変化と、それがツーリズムに与える影響とはどのようなものなのかー。それを探るべく、様々な有識者の方々とディスカッションを行う中で「心地よさ」というキーワードが見えてきました。TBWA HAKUHODOや最上地域のみなさまと共に「心地よさ」を紐解くことで、旅行者だけではなく、地域にとっても、新しい旅の形が生まれるのでは?という期待を胸に、このプロジェクトに取り組んでまいります。(プロジェクト担当一同:早野陽子、宮崎沙弥、山田晴子、臼井香苗)
<雪と暮らし舎一同>
「なにもない」と言われる町ですが、昔ながらの雪国の暮らし文化が誰かに注目されたり評価されることなく、誰かの暮らしの中にひっそりと息づいている山村です。雪に覆われる厳しい冬を乗り越えるために知恵をこらし、四季折々に自然や田畑から糧を得て、保存食に加工し、それらを時間をかけ手間ひまかけてごっつぉ(ご馳走)にこしらえる。経済性や効率性に劣り見向きもされてこなかったかつての雪国のライフスタイルですが、コロナ禍を経て、そこに「豊かさ」を感じてくださる方も少なくないのではと期待しています。今回のツアーを通じて、雪国らしい心地よさや豊かさをどのように受け止めてくださるのか楽しみにしています。(地域コーディネート担当:梶村勢至)
■観光復興ガイドについて
TBWA HAKUHODOのマーケティング組織「65dB TOKYO」や、コンサルティングユニット「Disruption® Consulting」などの有志が集まり、世間の観光に対する兆しを抽出した『新しい時代に対応する観光復興ガイド』をまとめています。当プロジェクトでは、TBWA HAKUHODOの他にもさまざまな企業や自治体などの有志が集まり、観光事業者の皆様が新しい時代の旅行をつくるサポートをしています。
2022年12月に発表されたガイド第三弾のリリースはこちら。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000034082.html
■TBWA HAKUHODO(TBWA博報堂)について
2006年に博報堂、TBWAワールドワイドのジョイントベンチャーとして設立された総合広告会社です。博報堂のフィロソフィーである「生活者発想」「パートナー主義」とTBWAがグローバル市場で駆使してきた「DISRUPTION®︎」メソッドを中心とした独自のノウハウを融合。質の高いソリューションを創造し、クライアントのビジネスの成長に貢献します。「DISRUPTION®︎」は既成概念に縛られず、常識を壊し、新しいヴィジョンを見いだすTBWA HAKUHODOの哲学です。マーケティングに限らず、ビジネスにおけるすべての局面でディスラプションという新しい視点を武器に事業やブランドを進化させるアイデアを生み出します。 http://www.tbwahakuhodo.co.jp
●65dB TOKYO
「65dB TOKYO」は、TBWA HAKUHODOにて2019年より本格稼働しているマーケティング組織です。ソーシャルリスニングを用いた独自のソーシャルボイス分析手法やインサイト発見のプロセスを用いて、企業やブランドによる生活者の理解を促進し、現代の生活者のニーズに即したマーケティング施策立案を支援しています。 http://65db.jp/
●Disruption® Consulting
Disruption® Consulting は、『Disruption®(創造的破壊)』をフィロソフィーとしているTBWA HAKUHODOが2018年に設立したコンサルティングユニットです。既成概念を覆す「Disruption®メソッド」を用いて企業の新しい成長領域を生み出し、ビジネスおよびブランド戦略の立案をサポートする組織として、広告会社の新しいビジネスモデルを確立してきました。
■JTB総合研究所について
株式会社JTB総合研究所は、2012年、株式会社JTBの創立100周年を機にツーリズムを通じ社会や地域の課題解決への貢献を目指してスタートしました(2001年設立のツーリズム・マーケティング研究所を母体として社名変更)。調査研究、コンサルティング、観光教育の事業を柱に、ツーリズムの枠組みにとらわれない新しい時代のシンクタンクとして、地域や企業の発展に貢献すべく、取り組みを進めています。 https://www.tourism.jp/
■雪と暮らし舎について
「雪国だから実現できる豊かな暮らしをデザインする」会社として、山形県真室川町の元地域おこし協力隊員2名が2022年2月に立ち上げた会社です。真室川町や山形県最上総合支庁より委託を受けて移住推進業務を担っているほか、雪国の豊かな暮らし文化を次世代に継承していくことを目的とした新しい経済循環のデザイン・創出、豊富にある森林資源を背景にした事業づくり・雇用創出にもチャレンジしています。 https://www.facebook.com/yuki10kurashi
●雪のおはぎ*風花(かざはな)
「雪のおはぎ*風花」は、真室川町の食材を用いた手間ひまかけてこしらえる手作りのおはぎ店です。町に数多く残る伝承豆(在来種)や郷土料理に欠かせない保存食の沢胡桃をメインとし、生産者から適切な金額で調達することで、自給自足や昔ながらの四季に寄り添うライフスタイルのなかで伝わってきた食文化・食資源を次世代に継承していきたいと考えています。2023年春に正式オープン予定。地域おこし協力隊として運営に携わってくださる方も募集しています。 https://www.instagram.com/ohagi_kazahana/
●山形県ソーシャルイノベーション創出モデル事業
雪と暮らし舎では、若者の移住や定住を推進するため、木質バイオマス燃料や同燃料由来の余剰熱を活用した事業作り、産業誘致にチャレンジしています。山形県ソーシャルイノベーション創出モデル事業は、山形県の事業として山形県企業振興公社と山形大学の連携により、山形の課題先進地である最上地域において自律的で持続可能な地域課題解決の仕組みや事業創出の取り組みです。一般社団法人雪と暮らし舎は同事業にボードメンバーとして協力しています。 https://yori-i.jp/