イタリア・ローマ(Rome)を代表するラグジュアリーブランド フェンディ(FENDI)は、2022年10月12日、新たなイノベーションの拠点として新設された「フェンディ ファクトリー(FENDI Factory)」を公開いたしました。本施設はトスカーナ(Toscana)州の田園地帯の中心でフィレンツェ(Florence)近郊にある、バーニョ・ア・リーポリ(Bagno a Ripoli)カパヌッチア(Capannuccia)に位置し、フェンディの環境の持続可能性と、社会的責任に対する継続的関与を強調しています。敷地面積8ヘクタールにも 及ぶ「フェンディ ファクトリー」は、ブルネレスキ窯(Fornace Brunelleschi)の敷地跡の30,000平方メートルを占めます。ミラノ拠点の建築事務所「ピウアーチ(Piuarch)」による初期コンセプトを、フェンディの建築部門が開発、発展させて、この新工場が完成しました。
フェンディのチェアマン兼CEOセルジュ・ブランシュウィッグは、次のように述べています。「イタリアは、伝統、歴史、美、そして何よりもエクセレンス(卓越性)の代名詞です。フェンディは“メイド・イン・イタリー”そのものに投資し、クラフツマンシップ、職人たちのサヴォアフェール、そして手仕事の力というコアバリューを発揮するチャンスを逃しません。専門知識と実験こそ、我々のマーケティング活動と企業文化を支える要素なのです。フェンディでは、この高レベルの伝統を維持し伝達していくことが 次世代を育てる基盤になると信じています。我々は自分たちのルーツも、またトスカーナにおけるこの新しい一章にも大変誇りを持っています。こうしてフェンディの従業員にサステナブルでやさしい働く環境を提供できて、同時に閉鎖された敷地の再転換にも貢献できるのですから」
「フェンディ ファクトリー」は屋内と屋外の境界線を曖昧にし、すべての機能(生産エリア、研究所、オフィス、サービス)を1階に集約して、地下は駐車場、2階は屋上庭園を見渡せる食堂としています。ファクトリーを囲む7ヘクタールにも及ぶ緑地は、最高度の注意を払って手入れされてきました。「フェンディ ファクトリー」の庭園の景観は、周囲の景色を一体化させ、何よりもトスカーナ丘陵の自然な景観の中に調和して溶け込んでいきます。700本ものオリーブの木が庭園の様々な場所に植えられ、ファクトリー自体が年間900リットルのオイルを生産します。建物の内部では、9箇所のガラス張りの中庭が屋内スペースに光を当てて周囲の景色との結びつきを強め、生産とオフィス用のスペースを調和させています。中庭にはイチジク、トキワガシ、ザクロ、アカシア、オーク、イチゴノキなど、地中海地方産の低木種が並びます。
大きなガラスの壁を通してたっぷりと日光が差し込む、機能的かつ効率的な製造工場は、健康的な作業環境を提供し、職人たちは自身の技能と創造性を遺憾なく発揮することができます。比類なき効率を追求し実現する「フェンディ ファクトリー」は、様々な生産エリア、オフィス、倉庫などを擁し、ヒトとモノが容易に循環する合理的なスペースが確保されます。
また、サステナビリティへの継続的な取り組みに沿って、「フェンディ ファクトリー」は2023年までに権威あるLEEDプラチナ認証を目指します。工場周囲も内壁もガラス製なので日光を遮ることがなく従業員はトスカーナの田園地帯と、地元のさまざまな植生を再現する完璧な設計の中庭を穏やかに眺めることができるのです。
「フェンディ ファクトリー」を環境に溶け込ませるため、各建物の外壁ガラスは、トスカーナ丘陵の色合いを反映し、当地の古代の伝統を讃えるため、特徴的なアースカラーの土とコンクリートを自然にマッチさせるようにデザインされています。
屋内は、フェンディがデザインしたテラコッタ建材を特徴とし、それらは「ペカン(Pequin)」を再現して、縦のストライプを描くように配置され、グラフィカルな「FF」ロゴを思わせる特製手作りタイルが挟み込まれています。イタリアのクラフツマンシップの好例といえるテラコッタは、以前に建っていた窯の建材を想起させます。大きな螺旋階段が1階と上階の食堂をつなぎオフィスと生産エリアの調度は無彩色のホワイトで揃えられ、屋内と屋外の両方に備えた特注ランプとともに差し込んでくる自然光の明るさを強調しています。すべての調度品は、テラコッタタイルも含めて、“メイド・イン・イタリー”で食堂ではスチールと板金を使用してミニマリストな空間を創出し、着色したコンクリート面とテラコッタ建材を交互に配置することで、つり屋根のやさしい景色とのダイナミックな対話を実現しています。また、「フェンディ ファクトリー」設計の原動力となったサステナビリティに従い、布張り家具と在庫のレザーを再利用し、アップサイクルしています。
この画期的施設の当メゾンにとっての重要性を示すため、チェアマン兼CEOのセルジュ・ブランシュウィッグは、2020年11月に建設現場に1本の木を植樹しました。このとき植えられたトルコ樫は、さまざまな文化において美徳、尊厳、勇気のシンボルとされています。とりわけこのトルコ樫の木は当地の生物多様性を称えるものとして、「フェンディ ファクトリー」プロジェクトにおいて重要な役割を担っています。さらに、フェンディは、敷地内の幼稚園の向かいに公園を作って遊び場とゆったりと座れるベンチを備え、「フェンディ ファクトリー」の景観と同じく生物多様性への取り組みとして在来植物種を植え可能な限り自然に近づくために、植物の栽培に特化したエリアをいくつか設けています。