【研究背景と目的】
黒大豆は古くから日本で食べられているおせち料理の定番です。黒大豆の種皮は、漢方薬の世界では古くから、黒豆衣(こくずい)と呼ばれる生薬として様々に利用されてきています。我々は、黒大豆の皮に着目し、黒大豆種皮から抽出・精製した機能性素材である「クロノケア®」を開発しました。「クロノケア®」は、ポリフェノールを58%以上(主成分は低分子プロアントシアニジン)含み、非常に高い抗酸化作用を有します。体内の酸化ストレスを低減することで自律神経機能を調節し、疲労を軽減することが確認されています。また、血管機能の改善効果も認められており、末梢血流を改善し冷えやむくみにも有効であることが示されています。これら「クロノケア®」の「疲労感の軽減」「血管のしなやかさの維持」の機能については、2021年に機能性表示食品の届出が受理されています。今回は、「クロノケア®」の摂取期間および摂取量が、疲労と血管機能に与える影響を検証するためのヒト試験を実施しました。
【研究内容】
被験者69名(平均年齢41歳)を対象として、「クロノケア®」高用量(300mg/日)を摂取する群、低用量(100mg/日)を摂取する群、プラセボ(「クロノケア®」を含まない)を摂取する群の3群に分けました。各試験食を12週間摂取してもらい、4週間毎に疲労と血管機能を評価しました。疲労の評価については、会社の出勤時(9時頃)と退勤時(18時頃)に実施しました。また、起床時に採尿し、体内の酸化ストレスを測定しました。
【結果】
「クロノケア®」を摂取することで、体内の酸化ストレスが低減し、疲労と血管機能が改善されることが確認できました。特に、摂取期間が長くなるにつれて改善効果が高く、「クロノケア®」高用量の摂取でより顕著な効果が示されました。疲労については、出勤時および退勤時の両方で改善されていました(図1)。血管機能については、血管年齢および毛細血管の本数の改善が確認できました(図2)。
【まとめ】
本研究の結果から、「クロノケア®」は摂取期間および摂取量依存的に生体内抗酸化作用を高め、疲労および血管機能を改善することが示されました。疲労に関しては、会社の出勤時および退勤時の両方で改善効果が見られ、「クロノケア®」の摂取による労働生産性の向上が期待できます。血管機能については、心血管疾患や脳血管疾患といった突然死の原因となる深刻な疾病の予防に役立つ可能性が期待できます。また、本研究ではじめて「クロノケア®」による毛細血管の増加作用を確認しました。毛細血管の増加は、肌老化や薄毛、むくみ、肩こり、冷え症、眼精疲労など、様々な体の不調や病気の予防に繋がると考えられます。
今後は、「クロノケア®」を配合した自社の新たな食品の開発や、機能性食品原料として、飲料やサプリメント等の素材販売を進めていく予定です。
図1:「クロノケア®」を12週間摂取した際の疲労感の変化(摂取前からの変化量)
VASアンケートによる評価
図2:「クロノケア®」を12週間摂取した際の血管機能の変化(摂取前からの変化量)
血管年齢:加速度脈波計 TAS9VIEW(株式会社YMC)
毛細血管:毛細血管スコープ 血管美人(あっと株式会社)による評価
【用語説明】
・プロアントシアニジン:黒大豆ポリフェノールの主成分。フラボノイド類のフラバン-3-オールに属し、エピカテキンあるいはカテキンの縮合体として存在する。
・血管年齢 :血管の老化度を動脈壁の弾力性が年相応かにより判断するもの。加速度脈波計を用い、心拍動による指先(抹消)血管の容積変化から測定できる。
・毛細血管 :全身にくまなく網状に張り巡らされおり、組織や細胞へ血液中の栄養素や酸素を供給し、組織中の二酸化炭素や老廃物を受け取る。
<お問い合わせ先> フジッコ株式会社
担当者:イノベーションセンター 素材研究チーム 赤木 良太
責任者:イノベーションセンター 部長 鈴木 利雄
TEL:078-303-5385 ホームページアドレス:https://www.fujicco.co.jp
<原料販売に関するお問合せ先>
担当者:イノベーションセンター 素材販売チーム 平澤 素王
TEL:078-303-5925 商品情報:https://www.fujicco.co.jp/products/material/