「不思議。悩みを抱えてる自分が、なんだか誇らしく思えてきます」(ある相談者さん)
恋人がいる人を好きになってしまった、ついイタい友人のSNSを見てバカにしてしまう、暗い自分を変えられない……。
どんなあなたでも「ダメ」じゃない!大人気のイラストレーター・わかるさんによる、おもしろくて癒されるイラストとともに、あなたのお悩みを解決に導く、新感覚のお悩み相談。
「度量が広すぎる」と話題を呼んだ大人気のウェブ連載が、笑いと優しさ増し増しで書籍化。
- 著者 紫原 明子さんより皆さまへ
この本が、すでに世に数多くある素晴らしいお悩み相談本と大きく異なる点は、何を置いても回答者が、何の専門家でも、偉人でもない、悩める凡人であるという点です。私の話の一体どこに説得力があるのかと、お返事を書きながら何度となく悩み苦しみましたが、少なくとも相談者さんの良き隣人として、生活者仲間として、できるだけ相談者さんの近くに立ちながら、少しでも実践的な解決策をお届けできるよう努めてきました。
常に私たちの頭を悩ませる恋愛や結婚、離婚や転職といった私的な問題は、結局のところ常に、生きていくために無視できない経済活動と表裏一体で、どんなに「私らしく生きる」が良いとされたところで、世の中が厳しくなればなるほど望む生き方を選択し、決定するリスクが高まります。そんな事情を背に、現状に不満を抱えながらも長い間身動きが取れずにいるという人が、決して少なくないように感じます。
私にお悩みをお寄せくださる方々の多くも、実際にそうでした。その人たちに向けて何を語りかけることができるのか。そのままでいることは決して良いことではないとわかっていても、「動けばどうにかなる」とやみくもにはっぱをかけるのもあまりにも無責任に感じ、回答する際には毎回、その中間に身を置きながら、どう精神の自由を守り抜いていくか、ということを考えてきたように思います。
とは言え、この本の一番の見どころは、必ずしも私の回答ではなく、むしろ悩める相談者さんからいただいたお手紙、一通一通にあるとも感じています。私たちは大人だから、簡単に人前で泣いたりしません。けれども本当はたくさんの人が、普段見せている冷静な顔の裏で、泣きたい自分を抱えながら生きている。相談者さんの言葉から、読み終わったときにはどこか、遠くにいるまだ見ぬ同志に出会えたような心強さを感じていただける本だと自負しています。
- 著者プロフィール
紫原 明子(しはら あきこ)
1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。個人ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある。話して・聞いて・書いて自分を掘り出すコミュニティ「もぐら会」を主宰。「『WEラブ赤ちゃん』プロジェクト・泣いてもいいよ」ステッカー発起人。
- 目次
1章 歯の神経トラブルは夫婦関係に似ている。 〜離婚と恋愛編〜
2章 これまで運悪く「言葉の通じない場所」にいただけです。 〜人付き合いにもやもや編〜
3章 たまには自らイタいことしていきましょう。 〜ときどき自己嫌悪編〜
4章 お母さんを一つの現象と捉えることから始めましょう。 〜近いから厄介な家族編〜
5章 彼とのセックスは毎回ヨガみたいでした。 〜日常に残された最後の秘境編〜
6章 大人も子どもも、泣いたらいいよ! 〜ままならない人生編〜
- 書誌情報
著者:紫原 明子
発売:朝日出版社
発売日:2022年11月11日
定価:1,738円(税込)
判型・頁数:四六判・256頁
【書誌詳細】https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255013190/