本研究を通じて、栄養指導におけるアプリの有効性や活用方法、および食品摂取多様性(バランスの良い食品摂取)の変化とフレイルとの関係を明らかにし、フレイル予防・改善社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。
【背景】
超高齢社会のトップランナーである日本にとって、高齢者のフレイル(加齢に伴い心身ともに活力が低下した状態、要介護・要支援の前段)は重要な健康課題の一つであり、その予防・改善の必要性が高まっています。東京都健康長寿医療センターでは長年にわたる栄養疫学研究を通じて、フレイル予防における多様な食品摂取の重要性を指摘し、主食を除くおかずを構成する10の食品群を積極的に摂取することが、高齢期における低栄養や骨格筋量・体力の低下を防ぎ、フレイル予防ひいては健康寿命の延伸につながることを明らかにしてきました。更に、女子栄養大学は東京都健康長寿医療センターと共に、フレイル予防・改善を実践するための食の介入手法についての研究に取り組んでいます。
日清オイリオグループは2018年に上記の10食品群の摂取状況をチェックし、日々の食生活を見直すきっかけを作るアプリ「バランス日記~10食品群チェック~」を東京都健康長寿医療センターと共同開発し、アプリを通じて10食品群をチェックすることが、食品摂取の多様性の向上につながることを明らかにしてきました。
【目的】
スマートフォン向けアプリ「バランス日記~10食品群チェック~」を用いた栄養指導の有効性検証
【具体的な取り組み】
埼玉県内の2つの自治体において、65歳以上の地域住民の参加希望者に対して、「バランス日記~10食品群チェック~」を用いた栄養指導を行い、3か月間の食品摂取多様性、フレイルリスクをチェックする指標、食品群別および栄養素等摂取量、体重、BMI、体組成(筋肉量等)などの記録をとり、変化を分析します。
【実施期間】
2022年12月~2024年3月
【本研究における三者の役割】
・東京都健康長寿医療センター
アプリを使った知見の提供
健康長寿と食・栄養に関する知見の提供
・女子栄養大学
アプリを使ったヒト試験の実施
様々な栄養指導に関する知見の提供および研究フィールドの提供
・日清オイリオグループ
栄養指導で使用するスマートフォンアプリの活用に関するノウハウおよび取得データの提供
<参考資料>