「免疫細胞であるマクロファージによる異物の貪食※1が、精油ブレンド※2により活性化すること」
※1 細胞が不要なものを自らの中に取り込むこと。その様子が食べる様子に似ていることから「貪食」と表現される。取り込んだものは消化・除去される。創傷治癒において重要なステップ。
※2 ベルガモット精油を中心に、ラベンダー、マジョラム、ローズマリー、フランキンセンスなどの精油を加えブレンドしたもの。
マクロファージによる貪食は、創傷治癒の重要なステップ
皮膚をはじめとするあらゆる組織には、傷ついたときに自ら治癒する「創傷治癒機能」が備わっています。その過程では、ダメージを受けた組織や死んだ細胞、雑菌などを、「マクロファージ」を中心とした免疫細胞が異物として貪食し、除去します(図1)。これは治癒過程において大切なステップですが、マクロファージの貪食能は、加齢などの要因により低下してしまうことが知られています。そこでポーラ化成工業では、創傷治癒を円滑に進め、いつでも健やかな肌を保つことが可能となるよう、マクロファージの貪食能を促進する手段の探索を行いました。
精油ブレンドにマクロファージの貪食能を活性化する効果を発見
マクロファージの貪食能を評価するため、異物に見立てた蛍光ビーズと一緒に培養するモデル実験を行いました。その結果、ベルガモットを中心とした精油ブレンドが貪食を促進することが分かりました(図2)。
このことから、本精油ブレンドには、マクロファージの貪食能の活性化を通して、創傷治癒を促し健やかな肌を保つことに役立つと考えられます。
精油はホルモンや自律神経を介しても肌に影響
精油の香りは、創傷治癒に関わるストレス応答ホルモンや自律神経の活動にも影響を及ぼすことが知られています。今回の発見により、精油は、香りによる身体の変化を介した間接的なアプローチに加え、細胞への直接的なアプローチによっても創傷治癒を促進し、ダブルの働きかけにより健やかな肌に貢献する手段となり得ることがわかりました。ポーラ化成工業では今後も、精油の秘めた可能性を探し出していきたいと考えています。