私たちが造るのは、日本酒と同じく「米と水で醸したお酒」です。平井家が培ってきた日本酒の製造技術をベースとし、紫波の風土を表現する副原料を加えたクラフトサケをみなさまにお楽しみいただきます。日本酒に極めて近い香味を持ちながら、様々な素材が持つ個性を発酵によって豊かに表現していきます。
2月14日10時にクラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で公開したプロジェクトは当初目標として設定した250万円を初日達成。現在ストレッチゴールの1000万円に向け、引き続き応援購入を募っています。リターンには、私たちが日詰平井邸醸造所で最初に醸すお酒をお届けするほか、のれんや公式サイトへのお名前の掲載など、新たな歴史の一歩を共に歩み、見守っていただけるようなリターンをご用意しております。なお、ストレッチゴール達成時には、応援購入者全員に「オリジナルグラス」をプレゼントいたします。
▼100年の時が流れる国指定重要文化財「日詰平井邸」醸造所復活へ!酒造の自由に挑戦|Makuake(マクアケ)
https://www.makuake.com/project/hiraroku01/
日詰平井邸は1921年に12代平井六右衛門が完成させた、「平民宰相」原敬首相も訪れたことのある近代和風建築です。2016年に指定された国重要文化財であり、大正ガラス窓からのぞく庭の風景の揺らめきや、四方を取り囲むレンガ塀などによる特徴的な風景は、西洋から取り入れた建設当時の最新建築技術と、伝統的な和風意匠の融合によるもので、穏やかな時間の流れる空間を今に伝えています。
私たちは2022年2月より、地域のみなさまや支えてくれる多くのみなさまのご協力を得ながら、1年間利活用に取り組んでおります。平井邸が位置する日詰商店街で月に一度開催される朝市など、地域のイベントに併せて開放するほか、フォトウェディング、寄席、コンサートなど多種多様な企画を通してみなさまにご利用いただきました。昭和末期から長らく空き家だった門は開かれ、地域のみなさまに平井邸での時間をお過ごしいただくことができた、大きな一歩の年でした。
一方で、築100年を越える建物は着実に老朽化が進んでおり、国指定重要文化財として保存活用していくためには莫大な費用がかかります。このままでは日詰平井邸は次第に朽ち荒れ、平井家の歴史の出発点は失われます。何より、国指定重要文化財という地域資源を見守っていただいた地域のみなさまの期待を裏切ることになってしまいます。
地域のシンボルのひとつとして、私たちの先祖や地域のみなさまによって守り継がれてきた日詰平井邸を、“まちの家”として現代によみがえらせ、人々の交流点として未来に伝えていきたい。そんな思いが、今回のプロジェクトにつながりました。
平井家が家業として酒造業を創業したのは安永年間(1772年)のことです。6代平井六右衛門が酒造を本格的に開始し、以後およそ250年の間、みなさまに支えられて日本酒を造り続けてきました。
原敬首相をお招きした母屋の奥には、盛岡に移転するまで酒が仕込まれていた蔵が残っています。今回のプロジェクトでは、この造り蔵をクラフトサケ醸造所として復活させ、再びお酒造りを始めます。それが、私たちが代々培ってきた技術、歴史、想いを最もわかりやすく表現できる方法だと考えるからです。
紫波という土地は、岩手県の県庁所在地である盛岡から車でおよそ40分ほど南下した、人口3万3000人の小さな町です。農業が盛んに営まれており、稲作はもちろんのこと果樹も多く、高品質なリンゴやブドウ、ラ・フランスなどが栽培されています。また、日本三大杜氏に数えられる南部杜氏のゆかりの地とも言われ、酒造りが地域に深く根付いており、文化としてお酒が人々の生活と深く関わっている風土があります。近年では日本酒以外にもワインやサイダーなどの醸造所が立ち上がっているほか、統廃合によって子供たちが通わなくなった小学校を「酒の学校」として利活用する計画も、町によって進められています。
この紫波の風土を表現したお酒を醸し、再びみなさまに楽しんでいただくということは、私たち平井家の歴史や想いだけではなく、「酒のまち」としての地域の風土や文化にも通じるのだと考えています。
日詰平井邸醸造所で造るのは、日本酒と同じく「米と水で醸したお酒」です。私たちが培ってきた日本酒の製造技術をベースとし、紫波の風土を表現する副原料を加えたクラフトサケ(※)をみなさまにお楽しみいただくため、2つのラインナップを計画しています。
Re:vive(リヴァイブ)
米と米麹で仕込んだもろみの一部に、紫波の特産であるもち米の発芽玄米麹を加え発酵させます。
もち米は、日本酒造りにおいては取り扱いが困難で、一般的にはあまり使用されません。しかし、適切に処理をすることでうるち米に比べて糖化しやすいという特長があります。さらに、精米しない玄米を発芽させることで、米に含まれる栄養分を無駄なく酵母に供給し、発酵を促すことができます。仕上がったお酒は日本酒に極めて近い香味を持ちながら、特有のふわりとした豊かなニュアンスを持っています。白米に低精白米を使用した「空我-くうが-」と高精白米を使用した「無涯-むがい-」の2種類。また、ラインナップ名の由来になった「revive」は「復活」を意味しており、「re + vive」から成り立つ言葉です。酒造りとは米や麹菌、酵母、そして人間などの様々な生命の営み(=vive)が凝縮し、調和させることであるという考えを大切にしております。
layer(レイヤー)
Re:vive を基本とし、紫波の特産である果物をもろみに加え、スパイスやハーブ、ウッドチップなどを添えて自由な発想で醸造します。
日本酒の製法では認められていない多様な副原料を発酵に取り入れることで、既存の概念に囚われない新しい味わいのお酒をお届けすることができます。今回は紫波を象徴するフルーツのひとつであるブドウを採用予定。リキュールのように、できたお酒に副原料を合わせるのではなく、醸造段階で一緒に発酵させることで、幾層にも重なり合った奥行きのある味わいを実現できることが醸造酒の醍醐味と捉え、「layer(層)」と名付けました。
※クラフトサケとは:日本酒の製造技術をベースに、日本酒では法律的に製造することができない自由な製法によって酒造りを行う新しいジャンル。日詰平井邸醸造所が造るお酒の税法上分類は「日本酒(清酒)」ではなく「その他の醸造酒」です。
■応援購入金額の使い道
みなさまからお預かりした応援購入金額は、下記2つに代表される創業資金に活用いたします。
・お酒の開発について
岩手県工業技術センターなど研究施設との共同研究によってお酒の香味を磨き上げていきたいと考えております。極めて少量の仕込を複数試験し、紫波の風土を最もよく表現することができる一本を探っていきます。
・醸造所の設備について
日詰平井邸醸造所では、お米だけでなく果物など旬の違うさまざまな原料を取り扱うため、年間を通して安定した醸造が可能な設備を整える必要があります。特に、お酒造りで求められる緻密な温度管理を実現するため、通年で安定した温度環境が可能な発酵設備を検討しています。
■実施スケジュール
2023年2月 プロジェクト実施
同年4月 種蒔き
同年5月 田植え
同年7月 醸造所工事開始
同年9~10月上旬順次 醸造機器搬入、稲刈り
同年10月下旬~11月上旬 醸造所稼働開始、初仕込体験会※後述リターン
同年11月下旬 初搾り、瓶詰
同年12月上旬順次 リターン発送
最後までお読みいただきありがとうございます。日詰平井邸の醸造所を復活させ、紫波の風土の中で醸した新しく自由なお酒を発信していくことで、お酒のおいしさや楽しさはもちろんのこと、農業×醸造×地域が交わることによる人と人のつながりや、地域文化を新しいアプローチから豊かにしていくことができると考えております。私たちの祖先が守り愛した紫波という地域を、私たちの子どもたち、孫たちに伝え繋いでいくことができたらこれ以上の幸せはございません。
そのために私たちは全力を尽くします。
どうぞよろしくお願いいたします。
▼100年の時が流れる国指定重要文化財「日詰平井邸」醸造所復活へ!酒造の自由に挑戦|Makuake(マクアケ)
https://www.makuake.com/project/hiraroku01/
■プロフィール
株式会社平六醸造
代表取締役社長 平井佑樹(ヒライユウキ)
1991年10月12日生まれの31歳です。
私は岩手県盛岡市で県内最古の歴史を持つ「菊の司酒造」を営む両親のもとに長男として誕生し、大学を卒業してからは、実家の酒蔵でお酒造り、営業、広報などすべての業務に8年間取り組んできました。より広く全国、世界の日本酒愛飲家にお楽しみいただけるよう徹底した品質向上に取り組み、国税局鑑評会に加えてIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)などの市販酒コンペティションにおいても上位受賞。一部の高価格帯の商品だけではなく、醸造するすべてのお酒を美味しくお客様の元へお届けするために全力を尽くしました。
しかし、経営難から2021年3月に事業譲渡し、2022年1月に退職。以後、現在に至るまで私たち平井家の創業の地である紫波に場を移し、株式会社平六醸造として活動しています。