【研究成果】
Dietary collagen peptides alleviate exercise-induced muscle soreness in healthy middle-aged males: a randomized double-blinded crossover clinical trial.
https://doi.org/10.1080/15502783.2023.2206392
背景
不慣れな運動により筋肉痛や疲労感が発生して運動パフォーマンスが低下します。このため、運動による筋肉痛や疲労感を軽減し、回復を早めることが望まれます。近年、皮膚や骨等の動物組織に豊富に存在するコラーゲンの熱抽出物(ゼラチン)を低分子化したコラーゲンペプチドの摂取が生体に対し有益な効果を示すことが報告されています。当社でも、コラーゲンペプチド摂取による肌状態改善作用や免疫賦活化作用等を報告してきました (※1)。本研究では、生姜中の酵素で魚コラーゲン熱抽出物を加水分解したコラーゲンペプチド(ニッピペプタイド Collagenomics GFF-0, 以下GFF-01)(※2)の摂取が、運動後の筋肉痛や疲労感および筋力に及ぼす効果を無作為化クロスオーバー試験で検証しました。
方法
試験参加者(中高年男性20人、52.6 ± 5.8 歳)を無作為に2群(GFF-01含有食品先行摂取群とプラセボ食品先行摂取群)に割り付けました。試験参加者は、休止期間を挟んだ1期と2期に異なる試験食品を33日間摂取し、各期の摂取29日目に自重スクワット40回を最大5セット実施しました。自重スクワットの前後で、筋肉痛(主要評価項目)、疲労感、両脚の等尺性筋収縮時の最大膝伸展力を評価しました。試験参加者は、自覚している筋肉痛および疲労感を視覚的アナログ尺度 Visual Analogue Scale (VAS)(直線左端0 mmを筋肉痛または疲労感が全くない、直線右端100 mmを想像できる最大の筋肉痛または疲労感がある)に記録しました。
各期のGFF-01含有食品摂取時の測定値をアクティブ群、各期のプラセボ食品摂取時の測定値をプラセボ群として、群間比較を行いました。
結果
スクワット実施直後から筋肉痛が発生しました。スクワット実施直後の筋肉痛VAS(図1)は、プラセボ群に比べ、アクティブ群で有意に低値でした(45.8 ± 27.6 mm 対 32.0 ± 25.0 mm、p < 0.05)。またスクワット実施直後から疲労感も生じましたが、直後の疲労度VAS(図2)も、プラセボ群に比べアクティブ群で有意に低値でした(59.0 ± 22.3 mm 対 47.3 ± 25.0 mm, p < 0.05)。
スクワット実施2日後(3日目)の筋力(図3)は、プラセボ群に比べ、アクティブ群で有意に高値を示しました(80.5 ± 25.3 kg 対 85.2 ± 27.8 kg、p < 0.05)。
副作用は認められず、安全性に関する問題はありませんでした。
結論
コラーゲンペプチドの摂取は、運動後の筋肉痛や疲労感を軽減し、運動後の筋力を向上させることが示されました。これは、楽に運動できることで運動パフォーマンスが向上する可能性を示しています。
参考文献
※1
Koyama Y, et al. Jpn Pharmacol Ther. 2014;42(10), 781-790.
桑葉ら、薬理と治療 2014年、42巻 (12号)、p. 995-1004.
Koyama Y, et al. Jpn Pharmacol Ther. 2015;43, 51-56.
桑葉ら、薬理と治療 2017年、45巻 (10号)、p. 1649-1665.
※2
Taga Y, et al. J Agric Food Chem. 2016;64(14):2962–2970.
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