弊社では2023年2月にも飲食店の人手不足に関する調査を実施しており、継続調査となります(前回の調査結果:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000534.000001049.html)
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本調査について
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:410名
調査期間:2023年6月14日~2023年6月21日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち80.5%が2店舗以内の運営店舗です。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.5%(首都圏の飲食店の割合は66.3%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
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調査結果について
■コロナ前の2019年同月と比較し、5月の売上は33%が増加するも、増益の飲食店は25%
2023年5月、新型コロナウイルスは5類に移行しました。それに伴い、店舗の売上と利益について、コロナ前である2019年同月と比較していただきました。
コロナ前と比較し、「増収」の飲食店は35.2%でしたが、「増益」した飲食店はわずか25.1%にとどまりました。要因として、物価高騰や光熱費の値上げなどが影響していることが考えられます。
また、「減益」は51.9%という結果に。過半数の飲食店で利益が減少し、5類移行後も、苦しい経営状況が明らかとなりました。
▼2019年5月と比較して、2023年5月の業績は?(N=366)
次に、コロナ前である2019年同月と比較し、売上の割合を聞いたところ、最も多かったのは「80%(構成比:19.5%)」という結果になりました。
コロナ前の売上に完全に戻っていないことがわかります。
▼2019年5月と比較して、2023年5月の売上割合は?(N=370)
■コロナ前と比べて顧客数や顧客単価などの変化を実感
次に、売上を構成する要素について、コロナ前と比較して感じる変化について質問しました。最も多かった回答は、「顧客数(52.4%)」で、「顧客単価(40.0%)」、「来店人数(35.9%)」、「来店時間帯(34.9%)」と続く結果となりました。
▼コロナ前と比較して変化を感じる項目は? ※複数回答(N=410)
続いて、具体的な変化について聞いたところ、さまざまな声が寄せられました。
<来店人数の変化>
・1グループの人数が減った。アルコール飲料の注文が減った。(埼玉県/専門料理/2店舗)
・団体が多かったが少人数の来店が増えた (京都府/その他/3~5店舗)
<顧客単価の変化>
・客数は減ったけど、客単価は上がった (東京都/中華/3~5店舗)
・美味しいものを求める傾向にあり、おいしいものにはお金をかけていただくことが多くなり、客単価が上がってきた。また、以前は低単価高回転で利益を得ていたが、高単価で低回転の営業戦略により利益を効率的に上げられるように工夫している (埼玉県/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・人件費、原価、支払手数料、水道光熱費等の高騰に合わせて単価を上げたので、客数自体は落ちたが売上が上がるという形になった。 (神奈川県/焼肉/11~30店舗)
<イートイン比率>
・デリバリー、テイクアウトが増えた。長時間の滞在が減った。 (福岡県/居酒屋・ダイニングバー/101店舗以上)
・一時ほどではないが、テイクアウト需要は一定数定着した。 (新潟県/洋食/1店舗)
・UberEatsはコロナ禍ピークの9割ほどでオーダーが入っており、当店としては完全に根付いている。 (大阪府/アジア料理/1店舗)
<来店時間帯の変化>
・接待向けの店ですが、以前より接待も減った印象です。また、早い時間帯(17時、18時~)の予約が増え、それ以降の予約は極端に減りました。(東京都/和食/6~10店舗)
・早朝・深夜の来店が減って日中が増えた。 (東京都/カフェ/3~5店舗)
・2軒目文化が薄れた感じがする。 (東京都/バー/1店舗)
・来店時間が早くなり、滞在時間も短くなりました。 (神奈川県/洋食/1店舗)
<顧客数・顧客属性の変化>
・リモートが増えて、常連さんの来客が減った。年齢が高い方の来客が減った。 (東京都/バー/1店舗)
・日によっての顧客数の変動が激しい。20代のあまり飲まない客層が増えた。 (東京都/イタリア料理/1店舗)
・会食利用減、意図を持って来店する方が増、観光客増 (東京都/寿司/6~10店舗)
・インバウンド、外飲み、旅行客の増加 (京都府/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
<その他>
・コロナ禍のダメージを軽減するために、飲食よりも物販に力を入れるように店舗レイアウトを変更したため、物販の割合が増えました。 (大阪府/カフェ/1店舗)
・コロナ禍で、在宅ワークが増えて今までの通勤動線から自宅近隣の飲食店に目を向けられるようになったのと、デリバリーをはじめて、こちらも認知されるようになり既存店への来店へと繋がった。 (東京都/その他/1店舗)
■飲食店の4割以上が人手不足。人手不足によって店舗の営業活動に何らかの影響
次に、人手不足の状況について質問したところ、40.7%が「不足している」(やや不足している=30.7%、とても不足している=10%)と回答。2月の調査と変わらず4割を超える飲食店が人手不足の状況であることがわかります。
6割近くの店舗が「足りている(59.3%)」と回答していますが、その内訳を見ると「充分足りている」と回答したのは23.4%で、残りの35.9%は「何とか足りている」状況です。依然として多くの飲食店が余裕のない人数で運営をしていることがわかります。
▼従業員の充足状況は?(N=410)
続いて、従業員数が「やや不足している」、「とても不足している」と回答した方に、特に従業員が足りていない雇用形態・人数、店舗への影響についてそれぞれ答えてもらいました。
まず、足りていない雇用形態について尋ねたところ、「アルバイト・パート」が48.5%、「正社員」が19.2%、「アルバイト・パートと正社員の両方」が32.3%という結果になりました。特に「アルバイト・パート」の人手不足が深刻で、80.8%もの店舗が「アルバイト・パート」が足りていないと感じています。また、2月の調査と比較し、正社員の不足が3.5%上昇しています。
▼特に不足している雇用形態は?(N=410)
さらに、人手不足によって店舗の営業活動・方法を変更したか、実施経験のあることについて質問したところ、6割越えの飲食店が何らかの営業活動や方法を変更したことがわかりました。うち最も多かったのは「営業時間の短縮(34.1%)」、次点が「休業日の増加(28.7%)」という結果になりました。
人手不足が飲食店の営業日数や時間などに大きな影響を及ぼしていることがわかります。
▼人材不足によって実施した、店舗の営業活動・方法の変更内容は? ※複数回答 (N=410)
■58%の飲食店が直近1年以内に従業員の待遇を改善
次に、人材確保の観点から、従業員の待遇改善について質問しました。採用率アップや退職者防止を目的に、直近1年以内に待遇の変更を「実施した」飲食店は58.4%という結果になりました。
▼採用率アップや退職者防止を目的に、直近1年以内に待遇の変更を実施しましたか?
※対象従業員がいる飲食店のみ (N=315)
続いて、「実施した」と回答した飲食店に実施事項を聞いたところ、「給与の引き上げ(ベースアップ)」が88.0%とダントツの結果に。次点は「従業員の休日増加(27.7%)」「柔軟性のあるシフトの導入(27.7%)」でした。
▼採用率アップや退職者防止を目的に実施した、待遇変更内容は? ※複数回答(N=184)
■34%の飲食店が1年以上に渡り人手不足。さまざまな打ち手の先に閉業を検討する経営者も
最後に、従業員数が「やや不足している」、「とても不足している」と回答した方に、人手不足の今後の対策について質問しました。
まず、人手不足がどの程度の期間続いているか聞いたところ、「1年以上(34.1%)」、「半年以上1年未満(24.6%)」とコロナ5類移行前から人手不足に陥っている飲食店が58.7%にも及ぶことがわかりました。
▼人材不足の継続期間は?(N=167)
次に、このまま人材不足が続いた場合、どのような対応・打ち手を考えているかを聞いたところ、「従業員の待遇改善(41.3%)」「採用ターゲット・採用基準の拡大(34.7%)」という採用関連の項目がトップに。中には「店舗の閉業(12.6%)」を考える方もいる一方で、「特に対応・打ち手は考えていない(15.6%)」という方も一定数いる結果になりました。
▼人材不足が続いた場合の対応・打ち手として考えていること ※複数回答(N=167)
上記の打ち手について、具体的な内容を聞いたところ、さまざまな声が寄せられました。
<従業員の待遇改善・採用強化>
・給与の引き上げ (徳島県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・採用効率が期待出来る時期に媒体にお金をかける。 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・海外人材を入れる時が来るかもしれない (東京都/お弁当・惣菜・デリ/6~10店舗)
・タイミー等、短時間、短期採用 (東京都/そば・うどん/1店舗)
<テクノロジーの導入、業務のアウトソーシング>
・セルフレジの導入等、必ず人間が対応しなくても良い業務を機械に置き換えていく。 (神奈川県/カフェ/6~10店舗)
・アウトソーシングも考えているが費用の問題もありジレンマです (北海道/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・もうすでにやっているが、HPに関することを外注する(東京都/その他/1店舗)
<営業時間の短縮・休業日の増加>
・予約数の制限、ランチ停止 (東京都/和食/1店舗)
・営業時間の短縮(11時から20時)→休業日の設定(週1.2回休み)→閉店 上記からくる売り上げ減少で家賃払えず閉店 (京都府/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
<メニュー数の削減>
・メニュー数を減らしオペレーションの見直し (東京都/焼肉/1店舗)
・調理に手間の掛かるメニューを無くした。営業時間を無理のない時間から開始するようにした (埼玉県/バー/1店舗)
・メニューを簡素化し、作業レベルを下げる事で、人員の受け入れ幅を拡大して、より多くの人材を対象として募集活動を行う。 (愛知県/和食/1店舗)
<席数の削減>
・人数に合わせた営業 (神奈川県/中華/3~5店舗)
・お客様の人数制限 (神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・3フロアあるのだが、1フロアを予約を見て閉めてしまう。(東京都/その他/1店舗)
<業態の変更・移転・閉店>
・業態変更を含め少ない人数での収益性の確保 (東京都/専門料理/1店舗)
・仮店舗から自宅改装移転プラン (静岡県/和食/1店舗)
・不採算店を閉店し、儲かっている店舗へ人員を異動する (東京都/その他/11~30店舗)
<その他>
・キッチンカーと店舗営業を両方やっているが、どちらかをやる日は片方を休みにせざるを得ない状況になってしまう (神奈川県/カフェ/1店舗)
・一時的に手が欲しいという店側の要望に応えてくれる客の中からサポートしてくれる人に依頼する。 (埼玉県/バー/1店舗)
■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
■株式会社シンクロ・フードについて
当社は、”多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる”というビジョンのもと、飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営しています。テクノロジーを最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な「ヒト・モノ・情報・サービス」など多様な選択肢をシンプル・スピーディに提供していくことで、飲食業界の発展・関わる人のしあわせに貢献してまいります。
【本社】 東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン3階
【代表者】 代表取締役 藤代 真一
【上場市場】 東京証券取引所プライム市場
【URL】 http://www.synchro-food.co.jp/
【運営サイト】
▼飲食店開業・運営支援のサービス
・飲食店の出店・運営支援サイト「飲食店ドットコム(https://www.inshokuten.com/home/)
・飲食業界専門の求人サイト「求人飲食店ドットコム」(https://job.inshokuten.com/)
▼飲食業界を超えて広がるサービス
・店舗デザインのポータルサイト「店舗デザイン.COM」(https://www.tenpodesign.com/)
・キッチンカーシェア・マッチングサイト「モビマル」(https://mobimaru.com/)
・インテリア業界や建築業界特化型の求人情報サイト「求人@インテリアデザイン」(https://job.tenpodesign.com/)
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本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報 今西・大木
住所:東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン
TEL:03-5768-9522 Mail:public-relations@synchro-food.co.jp
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