多くの自治体において、肺がん検診受診率は高いものの、骨粗鬆症検診受診率は非常に低いといった課題があります。今回の取り組みを通して、骨の健康増進事業を肺がん検診と同時に行うことの有用性を評価します。これにより「肺がん検診で骨粗しょう症検診を同時に行う」といった取り組みを行うことの、将来性の評価を行います。
広陵町では、これまで骨粗しょう症検診を実施できていませんでしたが、既存の肺がん検診事業を活用することで、新規にゼロから骨粗しょう症検診事業を立ち上げる負担を極力軽減し、効率的に骨の健康増進事業を開始できます。
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実証実験 概要
【目的】肺がん検診と骨の健康増進事業を同時に行う有用性を評価する
【期間】2023年9月〜2024年2月
【実施場所】
奈良県広陵町の実施する肺がん検診の、集団検診実施場所(さわやかホールなど)
【検診事業および実証実験の事務局】
広陵町けんこう推進課
【医療機器】
2023年4月18日に薬事認可(薬機法・製造販売認証)を受けたプログラム医療機器「医用画像解析ソフトウェア Chest Bone Indicator」
https://www.isurgery.tech/chest-bone-indicator
※骨粗しょう症の診断と治療の際には、「骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン」に則り、専門外来受診が必要です。
【実施の流れ】
肺がん検診受診者は希望に応じて、肺がん検診で撮影した胸部X線写真を利用し、自身の骨の状態評価を受けることが可能です。骨の状態が低下している場合、受診者は整形外科などの専門外来を受診し、骨粗しょう症の評価や必要に応じた治療介入を受けることができます。
本実証実験では、検査選択率や要精査率、精密検査結果に基づく有病率、そしてこれらをもとに試算される将来的な医療費削減効果が検証項目となります。また、「骨の評価も同時に行える」といった付加価値によって、肺がん検診受診率が向上するかを計測します。さらに、本実証実験実施における事業費を明確化することで、将来的に「肺がん検診で骨粗しょう症検診を同時に行う」ことを検診事業としたときの有用性評価を行います。
※AIの解析結果を参考にして、医療従事者側が骨の状態評価を行い、精密検査の必要性を判断します
【期待される効果】
1)負担をかけずに骨の健康増進事業を開始できる
肺がん検診での胸部X線写真を活用することで、ゼロから新たに骨粗しょう症検診事業を立ち上げる煩雑さを極力抑えつつ、骨の健康増進事業を開始できることが期待されます。
2)肺がん検診自体の受診率向上
「骨の評価を同時に受けられる」ことは、肺がん検診の付加価値に繋がり、肺がん検診自体の受診率向上に寄与することが期待されます。
3)医療費・介護費の削減効果
肺がん検診で撮影する胸部X線写真を利用するため、受診者は、わざわざ「骨のための検査」を受けることなく、骨の状態評価を受けられられます。また、健診バスを用いた巡回健診を受けられた方も、骨評価を受けられるようになります。これにより骨の状態評価の実施率の向上が見込まれます。実施率の向上は、より多くの受診者に対する健康指導の機会を提供し、骨粗しょう症リスク患者を同定することにも繋がります。適切な医療機関での受診および治療介入により、将来的には骨折予防や医療費の削減にも寄与します。
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実証実験のパートナー様募集
iSurgery株式会社では潜在的な骨粗しょう症患者を効率的に発見し、健康社会の実現と医療費の削減を一緒に目指す自治体パートナー様を募集しております。
この実証実験の枠組みを採用することにより、検診業務の効率化、検診受診率向上、被保険者の骨折数の減少、医療費・介護費の削減に貢献できる可能性があります。
ご質問、ご意見または特別なご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合せください。
▼お問い合わせ先(ページ下部)
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実証実験の背景(課題と解決策)
高齢化が進む日本では、加齢に伴う骨粗しょう症患者が1300万人に上る一方で、骨粗しょう症検診受診率は約5%に留まります。その結果、骨粗しょう症患者のうち約80%は治療介入ができていません。骨粗しょう症が未治療のまま放置されることで骨折、要介護状態に繋がり、これらによる医療・介護総費用は約1兆円に上ります。骨粗しょう症検診を実施するにあたり、特殊な検査機器を用いるため多くの被検者を対象にできないこと、被検者側の受診の動機づけが難しいことが課題です。これに対し我々は、深層学習による画像解析技術を応用し、一般的かつ撮影頻度が高い検査である胸部X線写真から骨を解析するAI医療機器を開発しています。他の目的で撮影された画像を二次利用して検査を実施することが可能であり、被検者は追加の検査時間・労力・被爆なしに検査受診が可能となります。適切な検査実施および治療介入は、骨折・要介護の回避および医療費削減に貢献する可能性があります。
上記のAIの社会実装の方法の一つに肺がん検診との連携があります。肺がん検診は受診率が高く、胸部X線写真を撮影します。我々は、肺がん検診の際に撮影された胸部X線写真で骨の評価を同時に行うことで、骨粗しょう症リスクのある患者の効率的な発見に繋げていきます。
過去の自治体での実証実験に関するプレスリリース
【AIを活用した骨粗しょう症早期発見の実証実験、大幅な医療費削減効果の見込み】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000061960.html
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iSurgeryの目指す未来
「骨粗しょう症患者の早期発見・早期治療により骨折や要介護状態を減らし、健康寿命を伸ばす。」をビジョンに掲げ、胸部X線写真から骨粗しょう症を検査するAI医療機器を開発しています。どこでも、誰でも、手軽に骨粗しょう症の評価を受けられる未来を目指して。私たちは、骨粗しょう症診療のデジタルトランスフォーメーション(DX)により、高齢化社会が抱える長年の課題にブレイクスルーを起こすことを目指します。
2023年4月18日、「胸部X線写真から骨の状態を評価するAI医療機器」の販売を開始しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000061960.html
特徴として
・X線撮影装置があればどこでも導入可能
・環境構築はPCを画像サーバーに接続するだけ
・既存の画像ビューアーを用いて、ワンクリック解析、5秒で完了
が挙げられます。
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会社概要
社名:iSurgery株式会社
本社所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-9-10日本橋ライフサイエンスビルディング7
名古屋オフィス:愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12 11F Pre-Station Ai 内
代表取締役:佐藤洋一(整形外科・リハビリテーション科専門医)
設立: 2020年5月
業許可:第二種医療機器製造販売業、管理医療機器販売業・貸与業