寺地はるなさんの最新長篇は、誰しもがもっている「心の傷」が産んだサスペンス。メディアからの取材依頼と、全国の書店員さんから熱い感想をたくさんいただき、発売前重版が決定いたしました。
「他人を殺す。自分を殺す。どちらにしても、その一歩を踏み出すのは意外とたやすい」と感じさせる本書に寄せられた感動の声を一部、ご紹介します。
- 『わたしたちに翼はいらない』推薦コメント
窪美澄さん(直木賞作家)
読み終えて、大きな赦しをこの物語からもらったような気がした。
前田敦子さん(女優)
心に隙間ができた時、人は人に依存しかねない。
でも、この小説は「誰でもそうだよ」と、安心と救いをくれました。
- 書店員さんからも熱いコメントが届きました
紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
理想と現実の違いへの悩みや葛藤。他者への嫉妬、恨み。
どうにもならない感情と向き合い、もがき続けながらも前に進む姿に、深く心を揺さぶられました。
TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店 中江敬子さん
ほらほらあるでしょ? あなたにも。このドス黒い感情が。
かくしてもムダよ。って言われているようでドキドキしながら読んだ。
ジュンク堂書店郡山店 郡司めぐみさん
誰もが隠している劣等感を生々しく描いたストーリー。
チクチクする胸の痛みに耐えながらも最後まで目を離せませんでした。
コメリ書房鈴鹿店 森田洋子さん
他人事ではない、リアル過ぎる……。
人間の闇と向き合う運命の物語ですね。
宮脇書店青森店 大竹真奈美さん
祈りを込めて、曇天に虹を架けるような強さでこの作品を生み出してくれたことに感謝します。
紀伊國屋書店仙台店 齋藤一弥さん
日々死んでいく自分を、最後に救う自分の物語だ。
喜久屋書店小樽店 渡邊裕子さん
見ないようにしていた感情をハラハラとめくり出される感覚、
じれったいのに痛快で壮快。
- 寺地さんが本作で一番気付いたこと、そして、タイトルに込めた想いとは。
本作には、いじめ、モラハラ、ママ友マウント、親からの圧など、現代日本に根付く様々な問題が描かれています。主人公の3人はそれぞれ過去に受けた傷を癒せないまま大人になり、そこから解放されていません。
いじめられていた、友達がたくさんいたなど理由は様々でも、人生のたった数年間にすぎない学生時代の出来事をひきずっている人が意外に多いと、私自身、ずっと感じていました。けど、人間関係はいつまでも一定の均衡を保つわけではなく、いつか必ず変わります。私は本作を執筆しながらそのことに気付きました。
美辞麗句が溢れポジティブ思考がもてはやされる社会だけれども、「昔のことだよね」「謝ったよね」「私たちには翼があって新しい未来に羽ばたけるよ」というきれいごとで終わらせなくてもいいと、「過ぎたことでも許せないことは許さなくていいし、忘れたくないことは忘れなくていい」と私だけは強く訴えたくて、このタイトルをつけました。
「友達は大事な存在だから、いなきゃいけない」という言葉にストレスを感じる人たちに、「友達は少なくても、いなくてもいいんじゃない」ということを伝えたいです。終盤で、「友達じゃない」という台詞があるのですが、その場面が私は一番好きなんです。色々抱えていた彼らがどうしてそういう台詞を発するに至ったかを、本作を通じて感じていただけるとうれしいです。
<内容紹介>
同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。マンション管理会社勤務の独身――園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。2023年本屋大賞ノミネート、最旬の注目度No.1作家最新長篇。
寺地さん自身、「これほど精神的肉体的に消耗する連載は初めてで、悩みまくりながら書いた、わたしにとって大事な作品」と語るほどに全力を注いだ本作にぜひ注目してください。
<著者紹介>
寺地はるな(てらち・はるな)
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。2020年『夜が暗いとはかぎらない』で第33回山本周五郎賞候補。2021年『水を縫う』で第42回吉川英治文学新人賞候補。同年同作で第9回河合隼雄物語賞受賞。『川のほとりに立つ者は』で2023年本屋大賞9位入賞。他の作品に『カレーの時間』『白ゆき紅ばら』などがある。
<書籍データ>
【タイトル】わたしたちに翼はいらない
【著者名】寺地はるな
【発売日】2023年8月18日
【造本】四六判ハードカバー
【定価】1815円(税込)
【ISBN】978-4-10-353192-0
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/353192/