今回は下記の調査データをご紹介します。
日本国内宿泊施設の客室稼働率、クチコミ数とクチコミスコアの推移(2021年1月〜2023年6月)
TrustYouでは、観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の「客室稼働率（全体）」とTrustYouのデータが示す日本国内の宿泊施設の「クチコミ数（全国）」と「クチコミスコア（全国平均）」の推移を追跡しています。下記の折れ線グラフは、2021年1月から2023年6月まで期間、３つの値の増減を表したものです。
資料リンク：https://prtimes.jp/a/?f=d17267-92-f3199bdb5f37d021050a81ef2faed416.pdf
主な出来事：
2021年1月8日〜3月21日：第2回緊急事態宣言
2021年4月1日：「県民割」（地域観光事業支援）が再開
2021年4月5日〜9月30日：まん延防止重点措置
2021年4月25日〜6月20日：第3回緊急事態宣言
2021年7月12日〜9月30日：第4回緊急事態宣言
2022年1月9日〜3月21日：まん延防止重点措置
2022年8月：全国の客室稼働率が50%を超える（2020年2月以来）
2022年10月11日：全国旅行支援の開始、海外からの個人旅行再開、入国ビザの緩和
2023年1月10日：全国旅行支援再開
2023年5月8日：新型コロナウィルスが「5類感染症」に
データから読み取れること（インサイト）：
1）「客室稼働率」が上がると「クチコミ数」も増え、２つの指標の増減はほぼ同じ動きをしている。
2）「クチコミスコア」は、「客室稼働率」と「クチコミ数」が上がると、逆に下がる傾向にあり、特にコロナ禍中にこの動きは顕著であった。
3）規制解除後の新型コロナウィルスの第7波（2022年7月〜9月）に「クチコミスコア」が最も低下した。
4) 2022年10月以降、クチコミスコアが回復している。
2022年4月以降、稼働率とクチコミ数は上昇するものの、ゲストの満足度を示すクチコミスコアが低下している。コロナ関連の規制が解除され、ゲストが未だ“清潔さ”に敏感になっている中で第7波を迎えたことで、スコアが低下した可能性がある。また、久々のホテルや旅館での滞在への期待値が高まった中、人手不足や物価上昇に伴う料金の問題などで、評価が下がってしまったことも仮定できる。着目すべきは、2022年10月よりクチコミスコアが回復傾向にあり、宿泊施設の改善努力をはじめ、高めのクチコミ評価をつける海外ゲストの数が増えたことが寄与していると思われる。
TrustYou株式会社代表取締役の志和孝洋は次のようにコメントしています。
「これまで互いに反対の動きをしていた”稼働率”と”クチコミスコア”ですが、2022年10月から稼働率が上がりながらも、クチコミスコアの点数も上がってきました。訪日外国人客のクチコミが要因のひとつになっています。今月（8月）上旬に中国から日本への団体旅行が約3年半ぶりに再開されましたが、中国の不動産大手が破綻したというニュースで日本から中国への輸出や中国からの訪日観光などへの影響も少なからず出てくるものと思いますので注視していく必要があります。
国内に目を移しますと、物価上昇が今後も続くことを考えると宿泊代金も全体的に上昇する可能性があります。そのような状況において『消費者の価値はサービス内容へ変わり、クチコミ内容も厳しくなってくる』可能性があると予想します。品質を維持するためにも客室やフロント対応、清潔さなど各カテゴリーの品質は今何点なのか、と定量的な数値で常に把握し、速やかに改善できる体制にしておくことが大切だと考えています。」
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