アイネクライネナハトムジーク(伊坂幸太郎/幻冬舎)
仙台駅前で街頭アンケートに立っていた会社員の男は、
ギターの弾き語りを耳にします。
同じように聴き入っていた女にアンケートに協力してもらった彼は、
それがきっかけで交際するようになり、
そんな2人の周囲にいる人々も、愛に悩み、
めぐりあいを繰り返しながらさまざまな人間模様を織りなしていきます。
妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、
元いじめっ子と再会してしまったOLなど、
人生は、いつも楽しいことばかりじゃない、という
人生のリアルな感じをうまく出しています。
でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こります。
情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、
不器用な駆け引きの数々。
明日がきっと楽しくなる、
魔法のような連作短編集となっています!♡
それぞれの話がさりげなく繋がっていて面白さもあり、
どの話もその先が気になるし、
登場人物がみんな本当に愛おしくて、
その先の幸せな未来を願いたくなるような小説となっています。
黒い画集(松本清張/新潮社)
浮気・不倫・密通などで自滅していく男女を描いた連作短編集です。
戦後日本を代表する文豪・松本清張が、
雑誌で好評を博した7作品を自ら厳選しました。
名作『天城越え』を収録しているほか、
収録作品のひとつ『証言』はドラマ化・映画化されています◎
安全と出世を願い、平凡に生きている男の生活に
「密通」ともいうべき後ろ暗い女性関係が生じ、
影が差し始める物語となっています。
どこにでもあり、誰もが経験する可能性のある、
日常生活に潜む恐ろしさを描き上げています。
男女関係で人生の道を踏み外してしまう恐ろしさにゾッとしてしまう…。
人間の関係や心理を秀逸に表現し、
松本清張作品らしさも堪能できます。
700ページ超えと、読みごたえのある名作サスペンスの短編を
読みたい方におすすめです!
きまぐれロボット