岐阜県北部地方の結納方法
岐阜県の北部地方は飛騨地方のことをいい、名泉の下呂温泉で有名な下呂市や郡上おどりで名高い郡上市から北の高山市を中心とした地域です。まず岐阜県北部の結納の儀について順番にお伝えします。
結納の前の吉日に行うしきたりで「きめ酒」という儀式があります。きめ酒は仲人と花婿の父親が酒一升とするめ一把または肴料、一部では料理を花嫁の家へ持参し正式に結婚の承諾を得る儀式で、主に北部で行われていました。
結納当日は花婿側が仲人に昆布茶を出し結納品を改めていただき、お礼に食事や酒肴を用意するか、現金で渡し、結納治めは仲人の主人と父親が午前中に花嫁へ出向きます。花婿がついて行く事はあまりありませんが、奥美濃地方では本家の人が親族代表でついてくるしきたりがあります。
結納の品目は茂久録(もくろく)、熨斗(のし)、寿恵広(すえひろ)、帯地料(おびじりょう)、結美和(ゆびわ)、寿留女(するめ)、子産婦(こんぶ)、友白髪(ともしらが)、家内喜多留料(やなぎだるりょう)の9品目が正式結納です。この結納品を仲人と花婿の父が風呂敷に包み持参します。
出席者全員正装し、仲人が結納品を花嫁方の床の間に飾り、「今日はお日柄もよろしく、ご両家の婚約がめでたく調いました」と口上を述べ、「謹んでお受けいたします」と花嫁側があいさつします。
目録を渡し、花嫁の父と親戚代表とでそれを確認すると、花嫁が昆布茶を出した後、お斎と呼ばれる食事をしながら、婚礼の打ち合わせをする結納のしきたりがあります。
ご先祖に線香、両親に紅白の真綿、兄弟にも実用的な品の土産渡し、親戚にも手土産を花婿側が渡します。また花嫁側の家族分も用意し全員に手土産を用意します。
結納から結婚式までに行われる「中祝」という儀式は、花婿から花嫁に結納と結婚式の中間を見計って嫁入道具の一部になる様な品物を花婿側の母が一人で持参します。
結婚式当日に仲人夫妻がそろって花嫁を迎えに行き式場へ向かいます。
また、北部では結婚式の当日に結納返しをしており結納品は主に赤で結納返しは主に青を使うため、いただいた結納品の紙を青の包紙に替えます。結納金の一割またはモーニング、着物など家内喜多留料も一割を包み、いただいたするめを鰹節に替え、新郎方は父親と親族代表で受けます。
次は岐阜県南部の結納方法について