安定期に気をつけたい疾患
流産リスクがガクンと下がる安定期ですが、安定期=安心安全な妊娠期間というわけではありません。少なからず安定期にも流産や早産になってしまう事例もありますので、気をつけましょう◎
ここでは、安定期の流産や早産に関係する気をつけたい症状や病気についてお伝えします。
01:切迫早産
切迫早産とは、流産とは異なり胎児がまだ母胎の中にいて、出産を継続できている状態のことを言います。医師より切迫早産と診断された場合は、無理をせず、家でゆっくりと過ごすことで症状が改善される可能性があります!実際に筆者の友人も何人か安定期に切迫早産と診断を受けましたが、その後しっかりと休んだことで全員問題なく出産にまで至っています。
もし仕事をしている方であれば、医師の診断書をもらい仕事も休むのがベター!家事や(お子さまがいる場合は)育児はパートナーや家族に協力してもらい、このときばかりはしっかりと身体を休めることに専念しましょう◎
02:後期流産
後期流産は子宮奇形や子宮頸管無力症のほか、細菌感染がきっかけで起こる絨毛膜羊膜炎など、母胎側の異常によって起こります。そのほか、日常生活での行動がきっかけで後期流産を引き起こしてしまう可能性もありますので、以下のポイントに気をつけて生活をしてくださいね◎
●重いものを持ち運ぶ(引越など含む)
●アルコールの摂取
●喫煙
●避妊具なしの夫婦生活
●過度なストレス
●無理な姿勢
●お尻からこける
大切なことは安定期だからと言って、妊娠前のような生活をしないこと!一人の身体ではないことを自覚し、普段よりもゆったりとした生活を意識しましょう♡
03:妊娠高血圧症候群
妊娠全体の3~7%の確立で発症する妊娠高血圧症候群。この病気の怖いところは、発症すると胎盤が正常に機能しなくなるため、低出生体重児や胎児発育不全、子宮内胎児死亡を引き起こすリスクが高くなります。
●BMI25以上
●初産・多胎妊娠
●ご自身の年齢が35歳以上
上記、ひとつでも当てはまる方は、そうでない方よりも高血圧症候群になるリスクが高いと言われています。この病気は食事による栄養管理で予防ができますので、栄養バランスが整った健康的な食事を心掛けましょう!
04:妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて糖質代謝異常になった人のことを指します。この病気を発症すると、先述した妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高まるだけでなく、巨大児、羊水過多、心臓肥大、胎児死亡など、胎児に影響を及ぼす可能性が高まります。
また、一度妊娠糖尿病を発症すると、出産後も糖尿病を発症するリスクが通常の方よりも一段と高くなってしまうといったデメリットもございます。妊婦全体の7~9%が発症する病気なので、日々の食生活に気をつけることで発症リスクを低減させていきましょう◎
筆者の知り合いで妊娠糖尿病になったという方は、仕事の都合で空腹時間が長く、食事を摂れる時間まではお菓子をつまみ、しかもその後にしっかりご飯を食べるという生活をしていたところ、妊娠糖尿病になってしまったそう。
体が重く感じるので、階段を登るのも辛く食後の眠気も1人目の時(妊娠糖尿病に罹っていなかった)よりも強かったと言います。
05:前置胎盤
前置胎盤とは、胎盤が子宮の低い位置に形成され、子宮を塞いでしまっている状態のことを言います。妊娠初期ではあまり珍しい症状ではなく、胎児の成長とともに正常な位置に戻ります。
しかし、前置胎盤のまま胎児が成長すると、大量出血を引き起こすリスクが高まり、最悪の場合、早産や死産を引き起こします。前置胎盤の診断を受けた場合は、医師の指示に従って安静かつ身長に過ごしましょう◎
貧血
安定期に関係なく、妊娠中は赤ちゃんへ血液を送るために血液量が増えます。ところが赤血球の数はあまり増えないために貧血を起こしやすくなってしまうのです。症状としては動悸やめまい、頭痛などがあり、朝起きにくい、立ちくらみがするなど感じ取ったら担当の先生に相談をしてると良いでしょう◎
鉄分を多く含む食材を食事に取り入れてみたり、サプリメントをうまく活用するのもおすすめです!
あまりにひどい貧血の場合は、血液検査などに出るので産科から鉄剤を処方される場合も◎
便秘
ホルモンバランスの影響から腸の動きが低下することもあり、便秘になる方も。
また、子宮が大きくなり腸を圧迫することも便秘の原因となります。
便秘予防に良いとされる運動も妊娠によってなかなかできないですから余計に便秘になりやすくなってしまうのです。
便秘を予防するために水分をこまめに摂ることや、食事の中に食物繊維や乳酸菌を意識して取り入れることなどで改善される場合が多いので、まずはそちらから意識してみましょう!
急な体重増加
安定期になるとつわりが落ち着いてくる場合もあり、今までよりも食事が取りやすくなったり食べ過ぎてしまう方も。。
今までつわりで食べられなかった、という方がその反動で過食気味になってしまい、体重が急激に増加してしまうこともあります。
もちろん食べることは大切ですので、食べる食材に目を向けてバランスを整えることを意識したり、間食の際もカロリーを摂り過ぎていないかなどを考えながら食べるようにしましょう◎
安定期に入る前にNIPT(新型出生前診断)を!
NIPT(新型出生前診断)とは出生前スクリーニング検査のひとつで、母体から採血した血液中に浮遊しているDNAの断片を測定し、染色体異常による疾患リスク判定を行うという検査です。
エコー検査で胎児心拍が確認された地点で検査を行うことができますので、安定期に入る前に行うことがおすすめです◎
安定期に済ませておきたいこと
妊娠後期ともなるとお腹が大きくなり動きにくいですので、安定期に入って調子が良い!と思える時期に出産準備をどんどん進めておきたいところ。特に赤ちゃんのスペースの確保などは無理のない範囲でこの時期に進めておくことをおすすめします。
妊娠後期に入ってから〜と思っていたり、産休に入ってから〜と思っていると、意外と直前でバタバタします。
予定よりも早く入院になってしまう場合もなきにしもあらずですので、体調の良い身軽な安定期にできる範囲で済ませておきましょう◎
また、体調が良い方でしたら安定期に入って身軽なうちに産後行きにくくなる旅行を計画してみたり、お出かけをしてみるのも良いでしょう◎
安定期に決まりはありません◎
以上、本日は安定期の定義にはじまり、安定期の母胎や胎児の変化、安定期におすすめの過ごし方&気をつけたい病気などについてご紹介しました!
安定期=安心安全な妊娠期間ではありません。母子ともに健やかに過ごせるよう無理はせず、栄養バランスの整った食事と適度な運動を日々の生活に取り入れましょう。万が一何かトラブルが発生した際には、すぐに医師に相談するようにしてくださいね◎