──本日はインタビュー宜しくお願いいたします。まずは、さまざまな業種がある中で何故ウエディングドレスに携わろうと思ったのでしょうか?きっかけなどがあれば教えてください。
飯島:宜しくお願いいたします。赤裸々にお話をさせていただきますと、実はもともと幼い時にミュージカルをしていたこともあり、人の心を動かす仕事をしたいと思い就職活動をしていました。ディレクター業務や新規事業などを考え、広告代理店をメインで考えていたので実はウェディング業界は全く考えていなかったんです。ただ広告代理店のお仕事は関わるフィールドが広く、一度面接の際に「興味のないものを売れるのか」と問われた時、面接官の方にいただいたこの言葉がきっかけで改めて、『自分の好きなものは何だろう』と考えることができました。私は幼い頃から「ラグジュアリーファッションブランド」がとても好きで、好きなものに触れられる仕事を見つけたいと思った時に出会ったのがトリートでした。
世界を代表するトップブランドのドレスを取り扱うことができる唯一無二のトリートに出会い、言葉にできないほど魅了されたことを今でも鮮明に覚えています。日本ではまだ知名度の低いブランドの中に可能性を見出すことや、長い歴史を持つブランドの魅力を日本女性に発信し続けたいと思ったのがこの業界に入ったきっかけです。
──これまで多くの花嫁さまと接した中で、印象に残っているエピソードはございますでしょうか?
飯島:私は、入社して3年ほどドレスコーディネーターのお仕事をさせていただいています。入社当時、ドレスコーディネーターは『運命の1着』を見つけることがミッションであり、花嫁さまと向き合うイメージがありました。コーディネーターとしてお客様と触れ合う中で「結婚」というものは花嫁さまだけのものでもご新郎さまだけのものでもなくて、「ご家族」のものなんだと感じたことが印象深く残っています。例えば、花嫁さまが店舗にいらっしゃっても、その際にご家族の中で何か問題に直面しているとしたら、それはご自身のブライズスタイルを選んでいる場合じゃない心境のこともございます。そんな場面に入社1年目、実際に直面し、ただ結婚式・花嫁に寄り添うコーディネーターではなく、花嫁さまのバックグラウンドを知らなければいけないと学ばせていただきました。
──なるほど、ありがとうございます。では、花嫁さまと接する中で大切にされているのは、どのようなことでしょうか?
飯島:そうですね。先程お伝えした花嫁さまのバックグラウンドを知った上でご家族に寄り添うことはもちろんですが、実際にブライズスタイルを決める花嫁さまには”ご自身で想像出来なかった姿”を提案するということをずっと大切にしています。これは入社当初ドレスコーディネーターの頃から、お客様と直接関わる機会が少ない今でも大切にしていることです。
──2021年10月に海外で買い付けたウェディングドレスの新作取り扱いが始まっていくかと思いますが、どのようなこだわりを持ってドレスを選ばれていますでしょうか?
飯島:そうなんです。コロナ禍ということもあり、1年半ぶりに現地に足を運んでのバイイングでした。コーディネーターであろうとバイヤーであろうと、まだ皆さまが見たことのない世界をお届けできるかというところにこだわりを持ってバイイングをしています。ただ奇抜なクリエイティブばかりだと、受け入れていただけないこともあります。そのバランスも、とても大切にしていますね。
そして、ディレクターとして『まずは、このドレスを自分が心から愛せるかどうか』というファーストインプレッションの重要さもこだわりの1つです。今はコロナ禍でランウェイがあまりないですが、本来はそのランウェイでモデルが歩いてくる瞬間、それが私達バイヤーが今季の商品を見る初めての瞬間です。どのブランドで何が発表されるかは、その瞬間まで分からないので、ライブ的にドレスをジャッジし、その後セカンドアポイントをして丈感や質感、デザインや予算など詳細を詰めていくんです。はじめてそのドレスを目にしたとき、そのドレスを、私が誰よりも愛せてないと、きっとどんな花嫁さまにも愛してもらうことが難しいと思っています。まずは自分自身が愛せるかどうかを1着1着、ちゃんと目と足を止めて向き合っています。また、実際にお客さまに提案するトリートのスタッフがこのドレスを見て何を感じるのか、花嫁さまがどう思ってくださるのかを考えながら、そして過去の分析データや今までのお客さまの声をキャッチアップし、自分自身が愛せるか、商品を届けるメンバーが愛せるか、そしてお客様に愛してもらえるドレスかを確かめていますね。
今回は、実はトリート史上最大数の買付をしたんです。ただ、ここに至るまで試行錯誤の繰り返しで、コロナ禍前の当たり前だった分析とは全く異なる状況に置かれる中で、何を買い付けるのが正解なのか分からなくなる時期もありました。コロナ禍で変わっていく、当たり前でない日常とこれからの結婚式や花嫁さまの動きを見ながらも花嫁さまに愛されるウェディングドレスを考え、動きはじめたところです。
──2020年に発表された「トモ コイズミ フォー トリート メゾン」はとても話題になりました! 制作する上で印象に残っていることや花嫁さまにおすすめのコーディネートなどあれば教えてください。
飯島:今回、ウェディングとファッションの境界線を超える、という想いのもと進めてまいりました。新しい挑戦にワクワクしている一方で、今までの日本になかったような、トモさん特有のフリルやデザインを、日本の花嫁さまがどう受けとめてくださるのかということが少し不安でもありました。トモさんとは、同世代で年齢が近く、そしてドレス作りをし既にニューヨークでデビューされてとても活躍されていらっしゃるということで、私自身、すごく興味があり共通のフォトグラファーさんに紹介していただいたことが出会いのきっかけでした。お互いの考えや想い、そして悩みを話していくうちに「だったら一緒に手を取って、ドレスを作ってみる?どんなドレスにする?」とトントン拍子で進んでいきました。
実は、コロナ前からニューヨークに持っていくつもりで制作も始めていて「ファッションとブライズの両方垣根を越えて見てもらえるよね」なんて話していたんですが、コロナ禍を迎えてしまい、発表するかも迷っていたんです。2020年9月にコレクションを発表した際には、突如現れたので業界の皆様にはすごく驚かれましたね。その後は本当に多くの花嫁さまから「着用したい」とお声を頂いています。ニューヨークのVOGUEが取り上げてくださった時は、アナ・ウィンターから直接メッセージを頂いて…。東京・国立競技場で行われた東京オリンピックの開会式でのMISIAさんが着用してくださったドレスもご連絡いただいた際は本当に驚きましたね。
──そんなバックストーリーがあったんですね、ありがとうございます。多くの花嫁さまが結婚式準備をする上で、大切にするウェディングドレス選びですが、ドレス選びに対して花嫁さまにアドバイスがあれば是非教えてください。
飯島:ある意味、この2年間は日本ならではの伝統や文化を守りたいけど守れないという現状だったと思います。大事にしたいけど大事に出来ないことばかりで、ストレスに感じてしまったり本来幸せな時間を過ごすはずの期間ももしかしたら、苦しいなと思ってしまった方もいるのではないでしょうか?だから、今だからこそ大事に出来ること、1人1人の花嫁さまが出来ることとして、まずは「結婚式に向き合う」ということをしていただきたいです。
多くの花嫁さまが大切にしてくださっているウェディングドレスを選ぶことって実は、「結婚式」のほんの一部でしかないと思うんです。どんなシーンでこのウェディングドレスを着たいのか、どんな想いを持って結婚式をつくっているのか、ウェディングドレスどうこうではなく、そんな、おふたりと家族、大切な人にとっての「結婚式」を一緒に考えていきたいと思っています。
──では、2019年には飯島さんご自身も結婚式をされたと思いますが、当時こだわったポイントなどあれば教えてください。
飯島:ありがとうございます。この質問、たくさんいただくので、理由付けしておけばよかったといつも思うんですよ(笑)。私たち夫婦の結婚式は『自分たちが心から愛せるものだけを実現する』そんなことを大切にしました。何か個性的なことをしたわけではないですが、私自身が愛せる衣装を身に纏って、大切な家族やゲストと一緒に美味しいお食事をすること、心くすぐられる空間を創ることが自分のウェディングのゴールでしたね。
ウェディングドレスは2着しか試着していないんです(笑)。私も、試着に同席した母も、そして担当してくれたコーディネーターも万丈一致で、その2着目に着たウェディングドレスに決まったんです。実は、そのドレスは、自身でバイイングした際に、言葉無くしても日本の花嫁さまに届けたいと思った本当に素敵な、衝撃を受けたウェディングドレスだったんですが、元々私は、そのドレスではない別のドレスを着用したいと思い、そのドレスしか考えていませんでした。ただ、1着目のドレスを身に纏った自分の姿を鏡で見た時、なぜか全く心がときめかなかったのを覚えています。その際、母が「そういえばこのドレスは私にも衝撃を受けたって話してくれたよね」「一回着てみたら?」と言ってくれて、その2着目に着たウェディングドレスが私の運命の1着となりました。
──最後に、新型コロナウイルスによって、結婚式の延期や中止を余儀なくされる方が多くいらっしゃいます。 この特別な時代を過ごす花嫁さまへメッセージをお願いします。
飯島:結婚をされたおふたりが大事にされたいことや、結婚式をする上で大事にされたいポイントってたくさんあると思うんです。本当に人それぞれだと思うんですが、私たちトリートは、その一組一組、そして一人ひとりに寄り添えるサービスが提供できるショップに、改めてなっていきたいと考えさせられたパンデミックでした。先日、ニューヨークにバイイングに行った際には「オーダーメイド」のウェディングドレスがまた増えているというお話も伺いました。こんな時期だからこそ、それぞれが異なる結婚式やウェディングドレスの価値観を大切にし、そして一人ひとりに寄り添う提案をしていきたいと思っています。辛い時間を過ごされた方、迷われている方もたくさんいらっしゃると思いますが、そんな方こそ、改めておふたりにとっての、大切なことを一緒に考えさせていただきたいなと思っております、ぜひ安心してご相談してくださいね。
Instagram:@miss_tomoko
トリートブランドとは?
今回インタビューをした飯島さんが
Chief Creative Officerを務めるトリートブランド。
一つ一つが唯一無二のストーリーを持つ
ブランドばかりです。
THE TREAT DRESSING(ザ トリート ドレッシング)
2005年にインポートブランドのウェディングドレスのセレクトショップとして誕生したTHE TREAT DRESSING(ザ トリート ドレッシング)。Monique LhuillierやJenny Packham、VIKTOR&ROLF MARIAGEなど日本の花嫁様に愛され続けているブランドから女性心をくすぐるドレスをご提案いたします。また、ウェディングドレスだけでなく、カラードレスや本振袖・色打掛・白無垢などの和装も豊富に取り揃えています。
公式HP:https://www.treatdressing.jp/
公式Instagram:@thetreatdressing
TREAT Gentlemen(トリート ジェントルマン)
トリートのメンズラインとして誕生したTREAT Gentleman(トリート ジェントルマン)。オリジナルのタキシードに加え、イタリア・イギリスから買い付けたタイやチームなどのアクセサリーが豊富に揃い、特別なシーンにふさわしい男性のドレスアップスタイルをご提案いたします。
公式Instagram:@treat_gentleman
TRAET MASION(トリート メゾン)
ウェディングドレスのセレクトショップ「ザ トリート ドレッシング 」のアトリエから誕生したブランド。現在は、国内3拠点のアトリエに、100名以上の職人が在籍しています。アトリエの職人達は、「花嫁様おひとりおひとりのために心を込めて一着をつくる」という視点で、その職人たちが手掛けるブランド「TREAT MAISON」では、トリートが提案する頭の先からつま先までのトータルコーディネートに欠かせないベールやグローブなどの製作・販売をしています。
公式Instagram:@treat_maison
THE G’S HIDEOUT. (ザ ジーズ ハイドアウト)
トリート ジェントルマンの新しいレーベルとして誕生した、THE G’S HIDEOUT.(ザ ジーズ ハイドアウト)。コンセプトは“良質を求める男性の隠れ家”。オーダースーツ・オーダーシャツを中心に、ビジネスシーンや日常で愛用していただける良質なアイテムをご提案しています。
公式HP:https://thegshideout.jp/
公式Instagram:@the_gs_hideout
HAUTE rent to runway (オート レント トゥ ランウェイ)
結婚式に参列するゲストにおしゃれを楽しんでいただきたい、との想いでスタートしたトリートのアパレルレンタルドレスショップ、HAUTE rent to runway(オート レント トゥ ランウェイ)。ご家族やご友人様全員でドレスアップした素敵なコーディネートに身を包み、記憶に残るお時間をお過ごしいただきたい…心躍る体験をお届けいたします。
公式HP:https://hauterenttorunway.jp/
公式Instagram:@haute_renttorunway
silver hangers(シルバー ハンガーズ)
2014年4月、THE TREAT DRESSING のシスターブランドとして誕生したsilver hangers(シルバー ハンガーズ)。ニューヨークやヨーロッパを中心に世界各国からsilver hangersのためにセレクトされたウェディングドレスやカラードレス、アクセサリーを豊富にセレクトしております。
公式HP:https://silverhangers.jp/
公式Instagram: @silverhangers