不妊治療が保険適用になった背景
2022年4月より保険適用になった不妊治療。その背景には、不妊治療にかかる治療費が患者にとって大きな経済的負担になっていたことが挙げられます。例えば、体外受精や顕微授精など治療内容によっては一回あたりの費用が数百万円を超えてしまうことも!このことからも不妊治療が誰でも気軽にスタートできる治療でなかったことが伺えます。
またニュースなどでも数百万円、数千万円等と高額な費用と長い期間を費やしても、とうとう子どもを授かれなかった事実が報道されることもあり、不妊治療に踏み込めない夫婦も多くいらっしゃったのでは?と思います。実際に不妊治療は行ったからと言って必ず子どもを授かれるわけではありません。結果が見えない治療に莫大な費用と時間を費やすことに不安を覚えるのも仕方がないと思います。
年間出生人数の低下も要因
厚生労働省の資料によると、第二次ベビーブームにあたる1980年以降、年間出生人数は年々減少。昨年には年間出生人数が80万人以下になるなど、今日本は深刻な少子化問題に直面しています。この背景には、女性の社会進出に伴う晩婚化、出生年齢の高齢化などが考えられます。その他、終身雇用が崩壊した日本において、経済的な問題もあり、子どもを持つことを諦める夫婦も一定数いらっしゃるようです。
政府としても少子化対策が緊急課題となる中で、2020年には「安心して子どもを産み育てられる社会保障を構築する方針」を固めます。その中のひとつとして子どもを望む夫婦の不妊治療にかかる経済的負担を軽くすべく、2022年4月に不妊治療の保険適用が決定。不妊治療に対するハードルを下げることに繋がりました。
不妊治療に関する社会的意識の変化
2022年4月より不妊治療が保険適用されたことを受け、社会全体にも「不妊は治療すべき病態」という意識が徐々に根付いてきているようにも感じます。実際に企業によっては不妊に悩む夫婦に対し、不妊治療を行うための休暇を付与していることも!ちなみに筆者の努める会社でも労働組合で不妊治療休暇導入の声が高まるなど、保険適用前後では不妊治療に対する社員の意識も大きく変化しています。
筆者自身も不妊治療が保険適用されたことをきっかけに、社会全体にも不妊治療に対する理解が深まり、「子どもを持ちたい」と考える夫婦が安心して不妊治療に取り組めるようになればいいなと心から願うばかりです。
不妊治療が保険適用となる条件について知る!